あるとき私は 私の夢が生まれ出てくる
秘密の場所の夢を見た
そこからは 肉眼では決して見えない
鳥達が次から次へ
世界へと飛び立ち
人々の魂をそっとついばみ
また密やかに舞い戻ってくる
そこは そんな秘密の場所だった
ついばまれた世界の人々の魂の一部は
私の夢の原材料となり 私は居ながらに
世界の人々をモザイクし 知らずして
魂の調合者となってしまっていた
見えない鳥はけれどついばむのではなく
食い破ることもした 食い破られた魂は
見えない血を流し やがてそこから腐り
腐臭を放ち続ける そのことを知るのは
魂の調合者であるこの私のみだ
そして私は気が付いた 罰を受けたことを
見てはいけない秘密の場所を見てしまった
この私は 目覚めることを許されず
私の意識が立ち入れないこの不可知の場所
のその前で 魂のかけらを調合するという
神の如きの力を得ながらも
夢の意識の牢獄で 永遠に夢見ることだけ
を強制され続けている 一人の囚人である
ことに