ポプラの綿毛が春の終わりを告知する
弟よ やがてあなたの傍のその横に
あなたは走る 父も走る けれどわたしは走らない
夏の盛りの天上を走る二人を仰ぎ見て
目まいに悩み夏の暑さに眩み日陰を探す
わたしが歩く地の上は蝉の抜け殻がよく似合う
弟よ もう今ではその呼び名は相応しくなく
あなたはあなたの道を一人静かに走って去った
誰にも見えない半年が見えると言うのか
あなたには
月の予言のつぶやきも虻の羽音に邪魔される
アーチをつたう蔓バラが虹の彼方に延びていく
積乱雲のてっぺんが押しつぶされたまま天を横切り
父とあなたが二人並んで歩いているような
そんな虹の向こうの微かな虹をわたしは見た