髪の毛がどんどん抜けてきて

Ornette Coleman. カラオケが私の予想を超えてはるかに大きな津波となってススキノの飲み屋街に進出し、それに伴って段々とキャバレーでお金を使って遊ぶという贅沢もいつのまにか縮小気配をみせ始め、お店自体が閉店することが目につくようになり、いやでも…

C調(しーちょう)なスーさん

Keith Jarrett. ドラム(太鼓)はバンドのいわば扇の要(かなめ)的存在であって、その太鼓が打ち出すリズムにバンドのみんなが安心して乗っかり、メロディを奏でたり、アドリブを取ったりできているのだと思うのですが、そういうひたすらリズムを打ち出し続…

起承転結の無い音楽

Chet Baker. バンドを止めてからも唯一といってよい親交があった友達に出会ったのは、昨日も書いたあの例の太鼓の人がいたバンドでした。 ここには比較的長くいた筈で、そのときのバンマスはテナーサックスのKという方なのですが、あの頃のテナーの人は皆コ…

モンクは恩人だけれど好きにはなれなかった

Horace Silver. 前回書いたようにセロニアス・モンクは私をジャズに導いてくれたいわば恩人なのですが、彼のピアノ演奏には結局馴染めないというか好きになれないまま今日に至っています。 モンクのピアノは一口で言うと不協和音を強調したあくの強い個性豊…

楽器が人を選ぶのか

Aga Derlak. クラシックのオーケストラでは実に様々な楽器が使われていて、それらの共同作業で一曲が演奏されるので、よく人が楽器を選ぶのか、楽器が人を選ぶのかが興味深く、ある意味真剣に取り上げられていて、そういう本も出ていることは知ってはいるの…

その時には分からなくても

Art Farmer. LPレコードが高かったので、せいぜい月に一枚か二枚位しか買えなかったとき、レコード店で視聴させてくれるようなシステムもなかったので、レコードを買おうとするときには結局ジャズ喫茶で聞いたレコードが一番頼りになったのですが、あとは雑…

下を見て見えなければ・・・

Roy Haynes. 仕事としてキャバレーやクラブをたくさん巡ってきましたが、実は自分のお金を出してキャバレーで遊んだことは一度もないんです。 あの頃のススキノの高級クラブには座るだけで〇万円とか言われている、とんでもない高級クラブもあったようなので…

芸能「山城組」の衝撃

Janis Joplin. 芸能「山城組」の合唱を初めて聞いたとき、その圧倒的な声量で地の底から湧き出てきたような、或いは天から降り注ぎ続けて止まない土砂降りの雨のような力強さに、心底から体が震え聞いていて思わず「おおー」と叫んだ強烈な体験があります。 …

何をどのように選べばよいのか悩みは尽きない

Chet Baker. バンドとバンドが交代するときのチェンジ曲は大体どこの店に行っても、みんながすぐ演奏できる、誰もが知っている、キーもほとんどが一定のありきたりの曲という暗黙のきまりがあって、そういう意味では苦労しないのですが、その反面何十回、何…

「風車(かざぐるま)」と「メリージェーン」

Miles Davis. 札幌のバンド時代を振り返ると仲間5人での演奏活動の時間はそんなに多くはなかったと思うのですが、なんと言っても気心の知れた者通しのバンドなのですから、楽しく演奏できたことは間違いなく、その代わりと言ったら外れてしまうのかも知れま…

40年ぶりに新聞記事で再会する

考える人。 去年、地元の新聞の札幌圏の記事の中に思わぬ人を見つけて驚きました。 私がお世話になったバンドのバンマスで、なんとバンドを止めてから奥さんとの二人で長く高齢者の施設慰問を続けているという内容だったのです。 元バンマスのHさんはテナー…

♯(シャープ)と♭(フラット)

Don Cherry. ♯ はその音を半音上げる記号で、♭ は逆にその音を半音下げる記号ですが、この記号がたくさん付いているキー(調)になればなるほど、ピアノが弾きずらくなってくるのは、やはり馴れてないからなので、レッスンを受けていたとき、先生にそのこと…

指は回るけれど

Thelonious Monk. ピアノの仕事にも馴れてきて、いくつかのバンドを経験していた頃に出会ったドラムスとベースの仲良しコンビがいました。 そのバンドに入って少し馴染んできたころだと思うのですが、その仲良しコンビに誘われて焼き鳥屋かなんかで言われた…

人の恋路を邪魔する奴は

Art Blakey. やっぱり記憶が曖昧で、最初にピアノで入ったバンドのリーダーがもう一人いたようなんです。 小樽で知り合ったテナーの人というのも果たして小樽だったのか。 もう一人というのはギターの人で、その頃の私がメロディを聞いて「ああ聞いたことが…

一人の歌手に運命を託す

Thelonious Momk. and Miles davis. ときどき一人の歌手に自分の運命を託したピアノの彼を思い出すことがあります。 キャバレーで仕事をしているとたくさんの歌手の伴奏(歌伴)をします。 中にはレコードデビューしてその曲のキャンペーンのため全国を回っ…

水商売の人のための飲み屋さん

John Hurt. 昼間に働いていた人たちが仕事が終われば居酒屋やクラブ(昔だとキャバレー)やスナックに行って高いお金を使ってでも、仕事の疲れやストレスを発散させるように、その昼間の人達のストレスや愚痴やらを受け止めていた夜の仕事の人達、いわゆる水…

仲間と出会う

Miles Davis. 小樽から札幌へ来たのは、両親の職場が札幌のある会社の寮のまかないをやることになって、私もまたそれに付いていったからだと思われます。 あの頃は高度経済成長が続いていた時期で、余裕があったのでしょう、今度も寮生でもないのに、寮の一…

クラシックの先生に就いて

Roy Hargrouve. 小樽に帰ってから少し小さ目のアップライト型のピアノを買いました。いま思い出してもとても可愛らしいピアノで、きっともう今は生産していないのじゃないのかなと思われます。 その後、1年か2年してそのピアノを下取りしてもらい、河合の…

ピアノ弾きには自分のピアノがない

Wynton Marsalis. 会話しているときに「あのヤノピ(ピアノ)はいい」と言ったときに、そのピアノが楽器を指すのか奏者を指すのかは、話の流れの中で文脈の前後で必然的にわかることなので、決して間違うことはないのですが、大体バンドマン同士が話をすると…

小樽で仕事をしていたころ

Esperanza Spalding. 小樽に帰ったとき、両親は銭函という名前だけは大層な、実は小樽の外れにある小さな町の日本海を見渡せるS商事の寮の賄いをやっていたので、あの頃は余裕があったのでしょう、その寮の一室を私も借りることができ、そこにピアノを置い…

いくら考えても納得がいかない・・

Miles Davis. 約15年間のバンド生活で一度だけ、未だにどうしてだったのか、その原因はわからないまま謎なのですが、そのバンドにいた期間(たぶん3か月くらい)徹底的にいびられた或いはいじめられた或いは無視されたことがあります。 その人とは初めて…

彼氏、いま幾つ?

John Coltrane. スナックでお店の女の子と話しているときに「彼氏、いま幾つ?」と尋ねられたことがあります。 「彼氏」はこの場合明らかに私のことであって、三人称を二人称として使うことにすごく違和感を覚えたのでしたが、私のほかにはそのとき男性は一…

ドーナツ盤

Dave Holland. ドーナツ盤:一分間45回転のレコードの俗称。ふつう、直径七インチ(約17.8cm)で、穴は直径3.8cmの大きさ。シングル盤。EP。 これまでFace book や他のSNSを見て来て、40~50年前のバンドの生活を書いたものを見かけた…

Thelonious Momk. 前回は懐かしくも心の温かくなる想い出だったのですが、こうして書いていると思い出したくない負の遺産がいつのまにか現れてきて、書くということは正負それぞれの面が嫌でも出てくるのだなあと思い知らされています。 今まで心の奥に押し…

エルビン・ジョーンズと握手する

Mick Jagger. こうして毎日のように書いていて、ふと全然関係のないプロ野球のニュースを見ている時に突然想い出したことがあります。 今から半世紀以上の前のことになりますが、コルトレーンが来日演奏したことがあって、多分昭和40年(1965年)前後…

ジャズ喫茶は禁欲的

Keith Jarret and Jack DeJohnette and Gary Peacock 小樽に帰ってきて雑誌の広告蘭でジャズ喫茶を見つけて、そんなに熱心にではなかったけれど気分転換に通いました。 ここは東京でのジャズ喫茶と違ってアットホームな雰囲気で、おしゃべりも自由だったよう…

ピアノに転向したい

Keith Richards. 東京で出会った数々の人達の中で、なかでも精神的にも物質的にもお世話になり、支えになってくれた二人の内の一人はテナーサックスの演奏者でしたが、この人は自分自身の目標としてアドリブこそ全てと言っていたとおりに、抜群の才能を発揮…

東京に住んでみて

Tom Waits. 東京に来て最初の1年は、新宿の東榎町にある一軒家の2階の部屋に間借りした。当時近くに住んでいた親戚の兄さんからの紹介だったと思う。 とても人当たりの良い感じの良い大家さんだったのだけれど、こちらが迷惑をかけてしまって二回目の更新…

砂漠に於けるレクイエム

Charles Gayle. <第一章> 〇 たとえば 雪のふりしきるある朝 ふと 僕らは肩でいきをする その時 僕らの目には決して見えず 決して聞こえず ましてや肌で感じることのできない はるかな天空の一隅に 今しも 流れ星がきらめき落ちつつある そうかもしれない …

音色の不思議

Michel Petrucciani. 「音色」という言葉がある。 音の色と書いて、文字通りに受け取ると常識的には「?」となるだろうし、物理的にはあり得ないことになるだろう。 実際、目に音の色が見えるわけではない。 見えるわけではないけれど、それぞれの演奏、特に…